- まぶたやまつ毛などの「外眼部手術」の特徴
- 外眼部手術の対象となる疾患・症状
- まぶたの重さは「眼瞼下垂」のサインかもしれません
- 眼瞼下垂の原因
- 眼瞼下垂の手術による治療
- 外眼部手術の流れ
- 外眼部手術の費用
まぶたやまつ毛などの「外眼部手術」の特徴
まぶた、まつ毛をはじめとする、眼球の外側の異常や疾患に対する手術を「外眼部手術」と言います。
主に、以下のような手術があります。
- まぶた、まつ毛、涙腺といった「眼瞼」の手術
- 外眼筋、視神経といった「眼窩」の手術
- 涙小管、涙嚢、鼻涙管といった「涙道」の手術
目の外とはいえ、これらの器官の異常・疾患は、視力など目の健康を阻害するおそれがあります。
当院では、目の健康の面ではもちろん、美容上の点もできる限り考慮しつつ、丁寧な手術をおこなっておりますので、安心してご相談ください。
外眼部手術の対象となる疾患・症状
当院で行っている主な外眼部手術の対象疾患・症状をご紹介します。
いずれも、日帰りで受けられる手術です。
翼状片
紫外線の影響などにより結膜組織が異常増殖し、結膜が角膜に伸びてしまう病気です。
充血、ゴロゴロとした異物感などの症状を伴います。また角膜への侵入が大きくなると、視力低下、乱視などを引き起こすことがあります。外見上の問題にお悩みの方も少なくありません。
治療法(手術)
薬物療法が行われることもありますが、根本的な改善のためには手術が必要になります。
翼状片組織を取り除く手術を行います。ただし、若い方、翼状片が大きい方は、再発の可能性があります。
眼瞼下垂
加齢などを原因として上まぶたが下がり、視野が狭くなるなどの症状を引き起こす病気です。
視野を確保しようと目を大きく開くため、筋肉が緊張し、頭痛・肩こりなどの症状も伴います。また、老けて見える、目が小さく見えるといった外見上のお悩みも聞かれます。
治療法(手術)
治療では、手術が必要になります。
上眼瞼挙筋と瞼板筋を縫い縮める手術、外れた挙筋腱膜を瞼板に縫い付ける手術などがあります。筋力に問題がない場合には、皮膚を切除するだけで済むこともあります。
内反症(逆まつげ)
いわゆる「逆まつげ」の状態で、まつ毛が角膜に接触する病気です。涙があふれる、目やに、異物感、痛みなどの症状を伴います。角膜が傷つくと、視力低下の原因となります。
治療法(手術)
まつ毛の抜去などの治療もありますが、根本的な改善のためには手術が必要になります。
皮膚を切開する切開法、医療用の糸でまつ毛の向きを固定する埋没法などがあります。
結膜弛緩症
結膜にはもともと適度な緩みがありますが、加齢などによって緩みが高度になると、結膜が下まぶたの上に溜まり、場合によっては角膜へと乗り上げてしまいます。これが、結膜弛緩症です。
目の異物感、涙があふれる、白目のブヨブヨ等の症状を伴います。
治療法(手術)
薬物療法で十分な効果が得られない場合、症状が重い場合には、緩んだ結膜を焼灼・切除する手術を行います。
霰粒腫
霰粒腫は、まぶたの縁にあるマイボーム腺という脂腺が詰まり、炎症を起こす病気です。関西では“めばちこ”、関東では“ものもらい”とも呼ばれます。
まぶたのしこり、赤み、腫れ、痛みなどの症状を伴います。
治療法(手術)
初期であれば点眼薬・内服薬で治療可能ですが、再発を繰り返す場合など、霰粒腫を摘出する手術を行います。
麦粒腫
麦粒腫は、まぶたの縁にある脂腺やまつげの根元に細菌が感染して起こる炎症です。まぶたの一部が赤く腫れ、痛みやかゆみを伴います。目やまぶたのかゆみ、赤み、腫れ、痛み、目やに、異物感などの症状を伴います。
治療法(手術)
通常、点眼・内服で治療します。炎症が強くなり膿が溜まっている場合には、切開し排膿させます。
まぶたの重さは「眼瞼下垂」のサインかもしれません
眼瞼下垂(がんけんかすい)とは、上まぶたが下がって目を開けにくくなる状態のことです。
視界が狭く感じたり、見づらさを補おうとして額に力を入れることから、頭痛や肩こり、額のシワなどの不調が生じることもあります。見た目の変化を気にされる方も多く、眼瞼下垂はQOL(生活の質)を大きく左右する疾患です。早期の受診・治療が改善の鍵となります。
このような症状がある方はご注意ください
以下の症状に心当たりがある方は、眼瞼下垂の可能性があります。
- まぶたが重い
- 視界が狭くなったように感じる
- 「まぶたが下がっている」と指摘されたことがある
- 夕方になると目が開けにくい
- 額にシワが増えてきた
- 頭痛や肩こりが続いている
これらの症状は、まぶたを引き上げる筋肉や腱膜の働きが弱まっているサインです。
視界の不調を放置すると、身体全体の負担も大きくなってしまうため、早めのご相談をおすすめします。
眼瞼下垂の原因
主な原因
眼瞼下垂は、まぶたを引き上げる筋肉やその働きを支える腱膜の異常によって起こります。特に加齢や生活習慣、過去の眼科治療などが原因になることが多く、以下のような要因が知られています。
- 加齢による筋力・腱膜のゆるみ
- 長期間のハードコンタクトレンズ使用による摩耗
- 眼科手術(白内障など)の既往歴
- 外傷によるまぶたへのダメージ
- 神経や筋肉の異常
眼瞼下垂になりやすい方
以下のような特徴に該当する場合は、症状が進行する前に専門医への相談をおすすめします。
- 中高年でまぶたの筋力が低下している方
- 長年ハードコンタクトレンズを使用している方
- 手術や外傷でまぶたに負担がかかったことのある方
- 無意識に額に力を入れてまぶたを開けている方
眼瞼下垂の手術による治療
眼瞼下垂の治療には、症状の程度や原因に応じたアプローチが必要です。軽度の場合は経過観察や日常生活の見直しで改善することもありますが、根本的に視界や見た目の悩みを解消するには「手術」が最も有効とされています。当院では、患者さま一人ひとりの状態を丁寧に診察した上で、見た目の自然さや機能性の早期回復を目指し、丁寧かつ最適な治療をご案内いたします。
主な手術方法
挙筋前転術(きょきんぜんてんじゅつ)
まぶたを引き上げる主な筋肉である「眼瞼挙筋」の機能が低下している場合に行う、代表的な眼瞼下垂手術です。筋肉を短縮し再固定することで、まぶたをしっかりと持ち上げられるようにします。局所麻酔で日帰り手術が可能で、見た目にも配慮した仕上がりが期待できます。ダウンタイム(腫れ・内出血)はありますが、数日~1週間程度で落ち着きます。
前頭筋吊り上げ術(ぜんとうきんつりあげじゅつ)
挙筋前転術だけではあまり効果が得られない場合や眼瞼挙筋の機能がほとんど失われている重度の眼瞼下垂に対して行われる手術になります。額の筋肉(前頭筋)を利用してまぶたを引き上げることで、視界の改善を図ります。
外眼部手術の流れ
1検査・診察
各検査、医師による診察を行います。必要となる検査は、疾患・手術の内容によって異なります。
適応となり、手術をご希望の方には、手術内容の説明を行います。ご理解・ご同意いただけましたら、手術日を決定します。
2手術
ご予約された日にご来院いただき、手術を行います。
手術後は、飲酒、運動、入浴、車・バイクの運転などについて制限が生じることがございます。医師・看護師の指示をお守りくださいますよう、お願いします。
3術後の検診
手術の翌日、その後も何度か、経過を観察するためにご来院いただきます。
外眼部手術の費用
3割負担の場合 | 2割負担の場合 | 1割負担の場合 | |
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翼状片 | 12,000円 | 8,000円 | 4,000円 |
眼瞼下垂 | 23,000円 | 15,000円 | 8,000円 |
霰粒腫 | 3,000円 | 2,000円 | 1,000円 |